全方位移動型6輪PHEVヘキサローラー

好奇心を形に

放課後重工業。おかやま山陽高等学校自動車科30周年記念製作

ヘキサローラーの動画をYouTubeにて配信中!

  • ヘキサローラー走行編

  • ヘキサローラー製作編

おかやま山陽高等学校自動車科30周年記念製作2015高校生テクノフォーラム最優秀賞 受賞!!

【プロジェクトの趣旨】

2014年、おかやま山陽高校自動車科は30周年を迎えた。この30年間で自動車科は様々なものづくりを行った。ソーラーカーやエコデンカー、マイコンカ―、水陸両用車「ヘルベンダー」、ヘラクレスオオカブト型電気自動車・・・そしてギネス認定車「MIRAI」。

30周年という節目の年に、記念になる「今までにない」車を製作したい。そして決まったテーマは「作りたいものを作ろう。僕たちの好奇心を形にしよう」。

おかやま山陽高校自動車科・自動車整備部の教職員・生徒が協力し、設計図を描きパーツを切り出し、試行錯誤を繰り返しながら製作した。

誕生までの歩み

自動車科30周年記念製作

本校自動車科では、三級自動車整備士の取得をめざし、日々自動車について学んでいます。平成26年度、自動車科は30周年を迎えました。その記念に誰も見たことがないクルマを製作したい・・・
30周年記念製作プロジェクトはこうしてスタートしました。

テーマは・・・「好奇心を形に」

どうせ作るのならば先輩たちが製作した数々のものを超えるものづくりをしたい。そこで、ものづくりの原点である「好奇心を形にする」をテーマにしました。
京商製「ガンローラー」をモデルに今までにない夢のクルマの製作を開始しました。

設計変更・試行錯誤

今までにないクルマだけに、失敗も多くありました。転倒の危険性があった最初の設計を一新したり、製作した発電機が安定した発電をしなかったり・・・。試行錯誤を繰り返しました。「新たに作り出す」ことがこんなにも難しく、大きな壁が立ちはだかりました。

未知への挑戦と技術の結集

高く大きな壁も、ゼロハンカー製作で培った技術とチームワークで乗り越えました。得意を活かし、苦手をカバーしあいながら、だんだんと形になっていくヘキサローラーに疲れも忘れて作業に取り組みました。

2015高校生テクノフォーラム 最優秀賞

平成27年1月17日、「2015高校生テクノフォーラム」で、出来上がった車両についてまとめた「全方位移動型6輪プラグインハイブリッドの製作」を発表し、最優秀賞に輝くことができました。

作り上げた「近未来」

出来上がったのは、まるでSF映画から抜け出してきたクルマ。アニメで見た多脚戦車タチコマ、ロジコマ(「攻殻機動隊」)のような車両で、発表中や展示中は多くの方に注目していただけました。

影響を受けたモノ

モデルとなったトイラジコン
京商製トイラジコン
「ガンローラー」

全方位移動を可能にした驚異の6輪駆動高機動マシン・零伍式6輪高機動戦闘車

追及したイメージ

アニメ「攻殻機動隊」に登場する、4本の脚と2本の腕を持ちAIによる自律行動を行う多脚戦車「タチコマ」や、歩兵兵站用輸送支援車両「ロジコマ

製作のポイント

  • 安全性、走行性、操作性に視点を置いた設計。細かな図面によりその後の作業性も向上した。

  • 発電機は始動不良のジャンク品を購入。普段学んでいる自動車整備の知識を活かした分解整備により復活させた。

  • オムニホイールはもともと2枚が1セット。それを2セット組み合わせることで荷重に耐える1輪のホイールとした。

  • 悪路でも走破できるよう、6本のアームにはそれぞれ2本のサスペンションを搭載。スイングアームとしての機能を果たす。

  • 6輪の駆動は6基のモーターが行う。配線は複雑を極め、PCを接続しての制御系の設定にも苦心した。

  • 電飾は消費電力の少ないLEDを採用。点灯時、まるでSF映画の世界にいるような気持ちにさせてくれる。

18通りの走行パターン

悪路でも走破できるよう、6本のアームにはそれぞれ2本のサスペンションを搭載。スイングアームとしての機能を果たす。

工夫した点

オムニホイール
2枚1セットを2セット組み合わせたことにより耐荷重性が得られ、安定性も増した。
PHEV(プラグインハイブリッド)
搭載した発電機で充電しながら走ることにより、長い航続距離を得ることができた。
レバー操作
ハンドルではなくレバーで操作できるようにした。
デザイン
世界最大のクモ「バードイーター」がモチーフ。内部構造が分かり易いように透明プラダンを使用した。
LED
消費電力の少ないLEDライトを使用して、内部から照らし、夜間でも目視しやすいようにした。

ヘキサローラー 諸元表

モーター ブラシレスDCモーター 750W48V×6
メインバッテリー M24(マリン用ディープサイクル) 12V×4(直列) = 48V
サブバッテリー 制御装置用電源(コントローラー・サプライ用) 12V×1 = 12V
コントローラー ブラシレスDCモーターコントローラー 48V20A ×6
オムニホイール 10インチ・ダブルアルミ・オムニホイール 2組×6脚 = 12セット
サスペンション 320㎜車高調ショックサスペンション×12
駆動方式 チェーン駆動式6WD(減速比 3.33)
走行パターン 前後進、左右旋回、左右超信地旋回、左右斜め移動 左右サイドスライド、左右ノーズインサークル
テールインサークル 計18通り
全長×全幅×全高 2184×2298×1250㎜
ホイールベース 前後:1930㎜ 左右:2052㎜
車両重量 約300㎏(空車状態)
乗車定員 1名(100㎏まで)
発電機 750W48V×6ホンダ製EM550:100V‐550W/60Hz12V-8.3A(ジャンク品を購入し、分解修理)
外部入力電源 交流100V(家庭用電源)

今後の改善点

  1. モーター制御による、回生ブレーキを設定する。
  2. 直進や旋回時の操作性を向上させ、前進時のスピードアップを図る。(現在、モーター出力を30%に抑えている)
  3. 強度のあるボディーを製作し、しっかり固定できるようにする。