おかやま山陽高校 ソーラー奨学金制度

おかやま山陽高校 太陽光発電所 ドローン撮影中

今から約30年前、地元のある業者さんが、ため池の堤防の材料となる「はがね土1」を採取するために、 金光町下竹から玉島道越えにかけての土地を造成しました。本学園では当時、新しい学校を作る計画があり、その「跡地」を学校用地として購入しました。
ところが、開学直前で計画がとん挫、新しい学校はあきらめることになりました。以来約30年間、この土地は空き地のまま眠っていました。
時々雑木を伐採しながら、新たな活用方法を検討し続けていました。

1はがね土…粘土質の土の一種で、水を含むととても強固になる

平成23年(2011年)、「再生可能エネルギー特別措置法」と「再生可能エネルギー買取法」が成立しました。
この結果、太陽光発電による電力は、1kWhあたり40円(当時、税別)で、20年間にわたって買い取られることになりました。
ここで、本校の原田三代治学園長がひらめきました。『ソーラー発電事業を建設し、その利益で奨学金制度をつくることができるのではないか?』。
多くの困難を乗り越え、『おかやま山陽高校 ソーラー発電所』の工事が始まったのは、平成27年8月のことでした。
そして平成28年1月27日、無事竣工式を迎え、1月29日から発電が始まることになりました。
幸い、平成24年中には売電契約を完了していたので、当時のままの1kWhあたり税別40円という価格で買い取ってもらえます。
「おかやま山陽高校 ソーラー発電所」のある場所は、南向きの緩やかな傾斜地で、「はがね土」が採れるくらいですから、地盤はしっかりしています。
雨量計算等も実施し、安全第一で設計・施工しました。

「おかやま山陽高校 ソーラー発電所」はこのようにして誕生しました。

また、発電所には再生可能エネルギーについて学ぶことができる「再生可能エネルギー学習センター」を併設します。
ここで、地域の小中学生が、自然エネルギーについて、そして、
いずれ実現する水素によるクリーンエネルギー社会の可能性について学ぶことができるようにしています。
平成29年より、いよいよこの発電所の売電益を使った「おかやま山陽高校 ソーラー奨学金」制度がスタートします。
少なくとも20年間にわたって、太陽の恵みによって手に技術をつけるために学ぶ生徒たちを支援する制度が続くのです。

ソーラー発電所と奨学金に込めた想い

未来に向け、今、私たちにできること

おかやま山陽高校の資格専門コース・機械科・自動車科・調理科・製菓科の生徒は、
手に職をつけるなど「確かな生きる力」を身につけ、地域を担う社会人になることを願って学んでいます。
かねてから学園長として、そんな彼らを支援するための事業を立ち上げたいと願ってきました。
太陽の恵みは、地球上のすべての人に対し分け隔てなく公平に降り注いでいます。

そこで、地球と私たちがこれからも「共存・共栄」していけることをもう一つの目標とし、この太陽の恵みを最大限に利用した奨学金を作ることにしました。
それが、このたびスタートさせる、『おかやま山陽高校ソーラー奨学金』です。
この奨学金制度には、私の3つの夢を込めました。

自然と共存する生活の啓発

発電状況を表示するモニターを校内に設置し、生徒たちがそれを見ることで、
「自然と共存共栄」していくこれからの日本の暮らしを考える機会を作る。

地域創生のために激励と応援

手に職をつけ、地域社会の為に役立ちたいと考えている高校生に、「激励と応援」をする。

地方私学のささやかな自助努力

公私学費格差の解消のための、私立高校としてできる「ささやかな自助努力」としての提案。

持ち味を活かす

この奨学金を利用して技術や技能を身に付けた若者が、地域社会に活気と希望をもたらしてくれることを切に願っています。

ソーラー奨学金について

  • 概要

    おかやま山陽高校の専門系の学科・コースに在籍する生徒を対象に、返還義務の無い奨学金を給付する。
  • 対象生徒

    おかやま山陽高校の機械科・自動車科・調理科・製菓科・普通科資格専門コースに在籍する生徒で、適格者として選出された者。
  • 給付人数

    各クラス5名程度(全校で75名程度)を予定
  • 給付金額

    毎月1万円(年間12万円)
  • 返還義務

    なし
  • 奨学生選出方法

    別に定める『おかやま山陽高校ソーラー奨学金』の選考内規に従い選考する。
設置場所 おかやま山陽球場(金光町)東隣
岡山県浅口市金光町下竹から倉敷市玉島道口の校有地
事業地面積 8878.35㎡
モジュール 260W(公称最大出力:ハンファQセルズ製・ドイツ)
パネルの枚数 3196枚 (一般的な発電量:1㎡当たり140W~180W)
年間総発電量(予測) 1,000,913kWh
運営主体 生石教育研究所(学校法人 第一原田学園内 所長 原田三代治)
事業目的 純利益の全額を奨学金として支給
発電事業期間 平成28年1月 ~ 平成48年1月 (20年間を予定)

再生可能エネルギー学習センターについて

おかやま山陽高校ソーラー発電所に併設し、
太陽光をはじめとする様々な再生可能エネルギーについて学ぶことができる、
小学生・中学生を対象とする学習施設です。

ソーラー発電所の仕組みを、実物を見学しながら学ぶことができます。
また、パネルや映像等を使い、風力、水力、地熱などのその他の再生可能エネルギーについても学ぶことができます。さらに、将来主力になると思われる、水素エネルギーの可能性についても学ぶことができます。
*ご利用のご相談については、こちらまでお問い合わせください。

岡山県倉敷市金光町下竹 2044番7  山陽自動車道玉島ICより約15分  おかやま山陽球場より500m

おわりに

日本はエネルギー資源が乏しく、その多くを外国からの輸入に頼ってきました。
また、夢のエネルギー源として研究されてきた原子力発電も、東日本大震災以降、その問題点が一気にあらわになりました。
こうしてわが国は、自然を利用した再生可能なエネルギーの重要性に改めて気づきました。
世界のエネルギーの主流は、いずれは水素になるでしょう。
しかし、それが実現するまでの間は、太陽光や風力、水力、地熱などの自然エネルギーをできるだけ有効に活用しなければなりません。

おかやま山陽高校のソーラー発電事業が、奨学金事業としてだけにとどまらず、いずれ実現する水素社会に向けて、次世代を担う子供たちがエネルギーについて考えるきっかけを作るための、「再生可能エネルギー学習センター」としても、活用されることを願っています。
日本には自然災害があります。地震や津波、台風などは人間の力で阻止することは出来ません。
我々日本人は、これら自然災害とも共生していかなければならないのです。
どうやって自然環境に適応し、かつ、豊かな社会生活を実現するべきなのか、これについて考える機会になればと思っています。
さらに私は、公立・私立を問わず、すべての子どもが『わが国の次の世代を担う子ども』として、少なくとも高校までは、費用を気にせず教育を受けられるような社会が、本来あるべき姿だと思っています。その実現のために、公のお金を期待するだけでなく、私立学校が自前で財源を確保し、それを生徒たちに還元する、そんな一つの提案として、このソーラー奨学金制度がヒントになればとも思っています。
このソーラー奨学金制度は、これから20年間続きます。
これを活用した生徒たちが、地域社会を豊かにするために頑張ってくれることを心から願っています。

平成28年1月
おかやま山陽高校 学園長 原田三代治

おわりに

おかやま山陽高校

岡山県浅口市鴨方町六条院中2069

0865-44-3100
お電話受付時間:平日 9時~17時

ソーラー発電・奨学金担当
ソーラー発電所 所長 三宅雄二郎